ディープラーニングで脳内マップ

NVIDIA GPUテクノロジー/医療活用事例

業種:医療機関/医療研究機関

このストーリーは、人間が知りうる限りもっとも複雑なシステム、脳の研究のためのマップ作成に、ディープラーニングソフトウェアとNVIDIA GPUテクノロジーを活用した事例をご紹介したものです。

テーマ

欧州委員会(EC)によって作られたヒューマン・ブレイン・プロジェクトは、高度な脳の研究、経験的知識に基づいたニューロサイエンスやその他脳が原因となるそれまでにあまりない化学に取り組む熱意を持っています。その活動目標には、脳と脳疾患のデータを集め、構成し、広めること、そして脳自身のシミュレーションを行うことが含まれています。※1

脳疾患研究やシミュレーションのためには詳細な脳内マップが必要

人間の脳は、1千億の神経と10兆の結合でできていて、人間が知る限りもっとも複雑なシステムの一つです。
この非常に複雑なものをマッピングするために、ドイツのユーリッヒ・リサーチ・センター(ユーリッヒ総合研究機構)の科学者たちは人間の脳のモデルを3D複合伝達を開発することにしました。
彼らは、何千もの非常に薄い脳組織の断面図を、顕微鏡と高度なイメージ分析方法を使って分析し、それらの断面図を3Dコンピュータモデル上で再構成することで実現しました。※2

高解像度な2Dイメージデータを3Dで構成するように分析及び登録することは、非常に大量のデータそしてコンピュータの数値計算が必要です。
複数の登録を実現する能力を提供するNVIDIA Tesla P100 GPUアクセラレーターを備えた、ユーリッヒのユーロンスーパーコンピューターがこの数値計算には理想的な環境でした。

ディープラーニングが3D脳内マップ作成を加速する

脳の3D地図を構築するため、科学者たちは伝統的に脳組織のスライスの細胞の構成パターンを分析してきました。脳細胞体を色素で染色することで、彼らは脳の異なるエリア間の境界を確認します。
多くの異なる脳についてこの作業を行いうことで、一般的な3Dのリファレンスモデルが出来上がります。※3

これはさらに、脳の中のあるエリアが脳の中の特定のロケーションでみつかる、という可能性を示唆した地図を作ることになります。200を超えるそのようなエリアについて実証され、これはおよそ人間の脳の70%に相当します。

しかしそれは、高度な画像処理を見積もっていない時間のかかるプロセスで、そのためカトリン・アムンツ教授とティモ・ディッケシェイドは以下のユーリッヒの科学者チームはこの処理を加速化するためにディープラーニングを採用しました。※4
彼らは、高解像度の脳細胞の着色されたイメージからテクスチャの特徴を持った、確率的な地図からの解剖学的情報と結合した、脳回ニューラルネットワークを学習させました。チームは目に見えるエリアにモデルをあてはめ、部分的な注釈のまばらなセットで学習させました。
そのモデルは有効に働き、空間的に一致し、以前は見ることのできなかった脳のセクションの再生可能なことを予測することができるようにしました。

そのような3Dの脳モデルは、健康な脳の構造と機能をよりよく理解するために重要な科学の進化をもたらします。
これを利用することで、医師は進化した画像技術から入手した患者のデータと脳の地図の情報を比べることができるようになります。この二つの違いは、すべてのレンジの神経学的なあるいは神経変性疾患(パーキンソン病やアルツハイマー病、脳卒中のような)に助けになる情報を提供します。

ユーロンクラスターはIBMとNVIDIAがユーリッヒリサーチセンターに納品した2つのパイロットシステムのうちの1つです。これは18台のIBM Minskyサーバーで構成され、それぞれにNVIDIAのTesla P100 GPUアクセラレーターとNVIDIA NVLinkインターコネクト技術が使われています。

本記事はThe Official NVIDIA Blogの記事を抄訳したものです。
「How the Human Brain Project Maps the Brain Faster with Deep Learning 」
(2017年6月20日付)
https://blogs.nvidia.com/blog/2017/06/20/human-brain-project/

注釈
※1 カトリン・アムンツ、クリストフ・エベル、ジェフ・ミュラー、マーティン・テレフォント、アロイス・ノル及びトマス・リペート(2016年)。ヒューマン・ブレイン・プロジェクト:人間の脳をデコードするための欧州リサーチインフラをつくる。ニューロン92号、2016年11月2日
※2 K・アムンツ、C・リペイジ、L・ボーギート、H・モルベルグ、T・ディッケシェイド、M・ローゼウ、S・ブルドウ、P・バジン、L・ルイス、A・オロスペウスカンス、N・シャー、T・リペート、K・ジレス、A・エバンス 2013ビッグブレインーある超高解像3Dの人間の脳のモデル。サイエンス 340号 No.6139 pp. 1472-1475
※3 K・アムンツ、k・ジレス(2015)ブロードマンを超える人間脳の構造的マッピング。ニューロン 2015年12月16日:;88(6):1086-107. doi: 10.1016/j.neuron.2015.12.001. Review
※4 H・スピツアー、K・アムンツ、S・ハーメリング、T・ディッケシェイド(2017):脳回ニューラルネットワークを使った高解像の脳のセクションにおけるビジュアルな大脳皮質の区画化。IEEE 国際生物医学画像処理シンポジウム(ISBI)
Image: Polygon data were generated by Database Center for Life Science(DBCLS)

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