人工知能で肺結核と戦う


NVIDIA GPUテクノロジー/医療活用事例

業種:医療機関/医療研究機関

このストーリーは、全世界で死亡原因のトップである肺結核を、経験の少ない医師でもディープラーニングを活用して正確な診断を行う、という内容です。

テーマ

肺結核はHIV/AIDSを抜いて全世界で死亡原因のトップの感染症です。この病気は胸部X線写真による診断が重要ですが、途上国で経験の少ない医師が正確な診断ができず、患者が死亡してしまうケースも少なくありません。
米国フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学の研究者2人が、ディープラーニングを活用してこれを低減する取り組みを行っています。

肺結核の問題を抱える途上国にとって、生と死の違いを分けるのは医師が胸部X線写真を正しく読影する専門知識をもっているかどうかに帰することがたびたびあります。そして多くの人が救うことができたかもしれない命を落としているということを、数字が語っています。
肺結核は、HIV/AIDSを抜いて世界でトップの死に至る感染症で、世界保健機構(WHO)は2015年にはこの病気で180万人のひとが亡くなっていると推計しています。
その死のおよそ95%が、放射線検査技術が最低限の低中所得国において発生しています。

米国フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学の2人の研究者がこの状況を変えることに取り組んでいます。
胸部X線検査とディープラーニングへの情熱を組み合わせることで、放射線学助教パラス・ラキハニと放射線学教授バスカラン・スンダラムは、肺結核診断についての事故を減少させることの扉を開くというものです。
「多くの途上国ではこの挑戦に取り組むリソースがありません。」ラキハニ助教は言っています。

AIに深くダイブする

幸運なことに、ラキハニ助教が2年前に行ったディープラーニングに深くダイブするという決断は、一つの解決方法につながるものとなりました。

彼はこの手法に「まさに取りつかれて」、GPUを入手し、彼自身がそのハードウェア環境を構築する前に何百もの資料を読んだと話しています。
その結果、アメリカ国立衛生研究所、ベラルーシ肺結核ポータル、トーマス・ジェファーソン大学病院から、肺結核の公開データセットを入手し、テスティングモデルを開始することができました。
NVIDIA TITAN X GPUで強化され、Caffeディープラーニングフレームワーク、CUDA、cuDNN、NVIDIA DIGITSディープラーニング教育システム同様にサポートされたシステムを使って、ラキハニ助教とスンダラム教授は1,000以上のパブリックな入念に検査された結核の診断画像を使ったモデルの学習を行いました。
そのモデルは彼らが過去に実施したCPUを使ったベンチマークテストの40倍も高速に処理をしたと、ラキハニ助教が言っています。
この研究は、途上国の医療機関が胸部X線画像をアップロードして、ラキハニ助教&スンダラム教授のモデルと比べることで、どんな異常も正確な診断に導くものです。

しかしながら、それ以前に、乗り越えなければいけないもう一つの挑戦がありました。
たとえば、胸部X線写真はだいたい2,500x3,000ピクセルの巨大なファイルになります。
GPUがそのレベルの解像度のファイルを処理しながら、膨大な量のデータをディープラーニングモデルのテストを処理することができます。
ラキハニ助教とスンダラム教授は、このことを解決するための方法を継続的に実験していて、たとえば、異常な部分のイメージの一部だけアップロードするとか、より深いネットワークを作り出すなどを行っています。「ハイパーパラメーターをよりよくするための調整をどうやって行うか、基本的なよりよいモデルをどうやって構築するかを学びました。」ラキハニ助教は語ります。

今後のさらなるチャレンジ

彼らはさらに複雑な挑戦に取り組んでいきます。最も大きなX線写真ファイルはそう簡単に解像度を小さくすることができないというような微妙な問題があります。
結果として、ラキハニ助教とスンダラム教授は、解像度と、肺結核感染症の微妙な指標を判断できるようなモデルのデータとの、適切なバランスを実現することに取り掛かっています。
このことでラキハニ助教は、モデルが有効に働くことには一定の制限がある、ということを理解しました。「わたしは非常に多くの肺結核の微妙な例を見てきました。このようなモデルであってもすべてを把握できるかという点では、疑問が残ります。」

彼らはどのように彼らのモデルを実運用させるか、まだ詳細に決めてはいませんが、彼らは商用アプローチを除外しようとしてはいません。
「私は世界を救うためには何がベストか本当にはわかっていないのです。」ラキハニ助教は言っています。
「時には商業サービス化がベストなこともあります。なぜならあなたは人々に手を差しのべ、無利益で働くこともできるからです。」
ラキハニ助教が間違いなく確信していることは、彼のスンダラム教授との仕事は肺結核にとどまらないということです。
彼は彼が学んだことを、同じような胸部X線写真関連のチャレンジ、数例上げるとしたら、胸部骨折、肺炎、肺感染症、心臓の異常や大動脈の問題など、に適用しようと考えています。

本記事はThe Official NVIDIA Blogの記事を抄訳したものです。
「Fighting Tuberculosis with GPUs and Deep Learning 」
(2017年7月20日付)

https://blogs.nvidia.com/blog/2017/07/20/fighting-tuberculosis/

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