どうやってディープラーニングは乳がんを見つけるか?

NVIDIA GPUテクノロジー/医療活用事例

業種:医療機関/医療研究機関

このストーリーは、マンモグラフィー画像診断における乳がん診断の正確さを向上するためにディープラーニングを活用する取り組みについてご紹介したものです。

テーマ

マンモグラム(マンモグラフィー検査で撮影した画像)は、乳がんの早期発見によって多くの人々の命を救っています。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF) コンピューターヘルスサイエンス研究所の小児医療、病理、臨床医学教授であるデクスター・ハドレー博士は、マンモグラムを使った乳がん診断における課題、「発見率が8割程度」、「逆に治療が必要でないケースの余剰な検査や治療の発生」を改善しようとしています。
ハドレー博士は自身が素晴らしい科学者であるだけでなく、優れたエンジニアで、それによりディープラーニングを使った解決に取り組んでいます。

乳がんは女性にとっては一般的ながんであり、がん死亡の原因として2番目に多いものです。
しかしこの疾患に対する標準的な検査であるマンモグラムは、米国国立がん研究所によれば、1/5のがんを見逃しています。あるいは、がんがない時にがんがあると誤判定されて、女性たちに必要のない手続きや心配に耐えることを強いることになります。

「20年にわたるデジタルマンモグラムのデジタルデータ収集で、我々はそうなるはず、と思われるとおりにならない、ということを知っています。」ハドレー博士は言っています。
彼と彼のUCSFの同僚は、GPUで高速化されたディープラーニングをマンモグラムの正確性の向上に活用しています。

陽性診断が陰性であるとき

UCSFの研究者は、胸のX線写真で、良性とがん性の特徴を正確に区別するようにニューラルネットワークを訓練しています。
「このアイディアは、我々が現在見つけることができる乳がんをより早く見つけるためのものです。」ハドレー教授は言っています。彼は、何か通常とは違うマンモグラムを、それが実際には害のないものであっても、「乳がんかもしれない」という警告をする例を減らす努力をしています。

米国では、毎年マンモグラムを受診している女性の半分以上が、10年のうちに間違って陽性という診断を受け、追加の検査や外科的生体検査が必要といわれた経験があります。
さらに、マンモグラムでは2つのタイプのがん、非浸潤性乳管がんと小さい浸潤性がん、を見つけることができますが、これは生命の危険につながらないものです。米国の国立がん研究所によれば、これらのがんが生命の危険につながらないという理由で、医師が簡単に治療をしないという決定をすることはできません。結果的に、ある程度の女性たちは必要がない放射線治療やがん摘出手術、その他の治療を受けることになります。

コンピューターにマンモグラムの読み方を教える

この問題を解決するために、UCSFチームは3万以上の病理学のレポートを取得し、個人個人のがん患者がどれくらい払っているのかを知らせるために、ディープラーニングアルゴリズムを使いました。研究者はこのデータを70万以上のマンモグラム画像に関連付けました。
そして、NVIDIAのGPUとcuDNNで高速化されたテンソーフローディープラーニングフレームワークを使って、胸部レントゲン画像診断でがんを予見するように脳回ニューラルネットワークを訓練しました。研究者が、NVIDIA TITAN X GPUを推論のために使用して、このアルゴリズムをテストしたとき、それは放射線科医が特別に複雑なマンモグラムを使って問題部分を診断した実績と合致しました。
ハドレー教授はこの研究を放射線科医が診断を決定をするためのツールとして使うことを、想定しています。

マンモグラムを研究のために寄付してください

ハドレー教授は次の計画として、良性のがんの成長か嚢胞か、浸潤性がんかそうでないか、あるいはほかの組織から広がってきたがんなのか、などを正確に同定するシステムを開発しようとしています。
彼はディープラーニングを使って腫瘍の成長の速度予測に狙いを定めています。
ハドレー教授によれば、この研究は強固なディープラーニングモデルを教育するために、何百万ものマンモグラムを入手するまで待たなければなりません。
米国では年間4千万のマンモグラムがとられているものの、健康プライバシー保護法はそれらへのアクセスを制限しています。
結果として、ハドレー教授、UCSFとそのパートナーは女性たちに対してマンモグラムやその他胸の画像データを研究のために寄付してくれるように呼び掛けています。※
ハドレー教授は彼の研究を支援するペタバイト規模のストレージを寄付してくれたウェスタン・デジタル社に対しても感謝をしています。
ハドレー教授は、乳がんの精密なイメージのための人工知能を開発するために、5百万のマンモグラムを研究することを期待している。

※ 原文ではマンモグラム寄付のための、ハドレー教授のウェブサイトが紹介されています。
https://www.breastwecan.org/

マンモグラムの正確性の向上

ハドレー教授の究極のゴールは、患者個人個人に対して適合した、もっと適切な治療を提供するために、ビッグデータを使うことです。
「我々はマンモグラムにおいてがんを同定するようにコンピューターに教え、あるイメージにおいてどんな特徴がみられるか放射線科医に教えることをやっていこうと思います。」ハドレー教授は言っています。「我々の研究の究極の目標は、医療全般の技術の向上です。」

ハドレー教授のもっと正確なマンモグラムのためのディープラーニングを使った研究については、NVIDIAのGPUテクノロジーカンファレンス(GTC2018)、3月26日ー29日、米国カリフォルニア州シリコンバレーにて開催、に参加すれば、もっとよく知ることができます。
今登録すれば早期割引が適用されます。

NVIDIA GPUテクノロジーカンファレンス(GTC2018) 詳細・参加登録は こちら

本記事はThe Official NVIDIA Blogの記事を抄訳したものです。
「How Deep Learning Could Catch Breast Cancers that Mammograms Miss」
(2018年1月25日付)

https://blogs.nvidia.com/blog/2018/01/25/ai-improve-mammogram-accuracy/

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