「高速」「リアルタイム」─あらゆる業務の“常識”を革新!
アイエスシー

プロフェッショナル・エンジニアに聞く「GPGPU」の”今”と”可能性”

もともとPCの画像処理カードとして設計された「GPU」は、CPUの数十倍もの演算コアを有する。近年、この特長に着目し、GPUをグラフィックボードではなく“演算用ボードとして”活用するケースがあらわれている※1。これにより、CPUとは比較にならない超高速演算処理が可能となるとともに、その技術応用が検査・解析から各種生産現場にいたるまでのあらゆるシーンにおいて、劇的な効率アップをもたらすと期待されている。

本稿では、いち早く「GPGPU」に着目し、映像・画像処理分野の製品開発に取り入れているエンジニア集団、アイエスシー株式会社にインタビューを行い、GPGPUの“今”と、“今後の展望”を聞いた。

※1 GPUの演算資源を、画像処理用途以外に応用する技術または取り組みを「GPGPU」(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)と総称します。

高まる高速化ニーズは、すでに“CPUでは賄えない”レベルに─

営業課長 坪井 秀剛 氏

Q:まず、貴社の業務を教えてください。

A:当社は1990年の設立以来、ハイスピードカメラの映像解析処理や制御系ソフトウェア/ハードウェアの受託開発を主な業務とし、映像や計測に関するさまざまなニーズに対応してきました。


Q:貴社はいち早く「GPGPU」に着目し、現在まで画像処理の高速化と各産業への技術応用における多彩な事例を積み重ねていますが、これまでの経緯を教えてください。

A:近年、ハイビジョンなど映像の高画質化が急速に進む中で、もともとデータ量が多いハイスピードカメラにおきましてもさらに大容量化が加速しています。そのデータ量はもはや、PCでフィルタリングなどの画像データ処理を行う際に、CPUでは賄えないレベルに達していました。こうした状況から画像処理の高速化を目指していた折に、GPU大手のNVIDIA社よりCUDA(クーダ)※2アーキテクチャの提供を受け、GPUによる高速処理技術の開発に乗り出すこととなりました。

※2 C言語ベースのGPU向け統合開発環境


Q:GPGPUへの取り組みにおいて苦労したことはありましたか?

A:当初はなかなか安定動作を得られず、マシン、ドライバ、およびCPUとGPUの組み合わせによっては、連続して動かすとアプリケーションがクラッシュするケースなどが発生していました。原因を突き止めようにも問い合わせる先がなく、NVIDIA社のマニュアルや海外の文献を参考にひとつひとつ解決していきました。最初の1本を完成させるまでが本当に大変でしたが、そこで要領を得た後はトラブルもなく順調に開発を進めています。

処理速度の向上は実に「50倍」に─あらゆる利用シーンの効率化を実現

システム開発部 課長 飯田 満義 氏

Q:完成したGPUアプリケーションに対する市場の反応はいかがでしたか?

A:まず画像処理速度の向上に関して言うと、“何倍”どころではなく、実に“50倍”は高速化することができました。そこで、とあるお客様のライブラリで、それまでCPUで処理していたアプリケーションをCUDA化してお見せしたのですが、そのときの反応は、シンプルに「おお!速い!」の一言でしたね(笑)。「GPUによってこれだけ速くなる」ということをすんなりと理解していただきました。


Q:「GPGPU」だからこそ実現できるメリットはなんですか?

A:ひとつは、“処理時間の短縮”です。ハイスピードカメラの映像や非破壊検査、動体検知など、従来では撮影後の処理に数時間もかかっていたものを、リアルタイムで見ることが可能となりました。
また、処理速度の向上による“処理精度の向上”も大きな進歩です。画像を細かく“コマ飛ばし”なく拾えるようになることは検査の精度を高め、処理時間短縮と相まって、業務効率化に向けた可能性をさまざまな分野に広げます。たとえば、生産ラインにおける検品作業などの工程の自動化。カメラで撮って瞬時に形状、サイズ、さらには微細なキズなどの識別を行うことで、高速で人手のようにムラがない検品が可能になり、作業の効率化に結び付きます。


Q:高速化によるメリットはあらゆる分野におよびますね。

A:そうですね。一昔前でしたらASICが必要だったものが、プログラムだけで多彩な用途に対応できます。GPUの汎用性の高さは今後、生産や解析などのあらゆるシーンで、高速処理による“効率向上(工数削減)”と“品質向上(精度向上)”、また“設備コスト削減”を実現していくと思います。

「高速」「リアルタイム」─CPUに代わり、あらゆる常識を覆す!

システム開発部 佐野 忠良 氏

Q:では、「GPGPU」における貴社の強みはなんですか?

A:基本的に私どもは「高速処理を実現したい」というお客様のニーズに対し、その解決策としてGPUによる高速化を提案しております。既存のCPUで使用していたコードをそのままGPUに対して流すことはできません。私どもは既存のCPUコードをGPU化することに強みを持っております。ただGPU化しただけでは高速化スピードに限界があったり、思ったよりスピードが出なかったりする場合もあります。
そこで私たちはプログラムのアルゴリズム自体の見直しをし、さらに高速化できるお手伝いをご提供できるのが私たちの強みです。


Q:高速化について特に注目している業種はありますか?

A:業種というより、検査・検証部門などからの引き合いが多いですね。自社でやってみたがうまくいかなかったという相談を受けることもあります。


Q:今後の「GPGPU」の可能性をどうとらえていますか。

A:【高速】【リアルタイム】の2大要素を必要とする画像処理において、これまでの常識を覆すソリューションであることは間違いありません。GPUは業種を問わず今後いろいろな分野で、現在のCPUのように意識せず活用されていくと思います。「GPU万能説」をうたうことも可能ではないでしょうか。何に適用し、使っていただくかはお客様次第です。


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会社紹介

アイエスシー株式会社

1990年設立。ハイスピードカメラの映像解析処理や制御系ソフトウェアの開発を手掛けるエンジニア集団。2007年、いち早くNVIDIA社のCUDAを採用し、画像(映像)分野において蓄積したノウハウをもとに、「GPGPU」による高速画像処理技術の開発に乗り出す。

詳しくはhttp://www.isc-net.co.jp/をご覧ください。

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