Semtech 技術記事連載 第1話
ESD保護はどの程度で十分か?

<はじめに>
デバイスの開発・設計を行う際には、ESD保護について考慮する必要があります。しかし、保護素子の検討は過小評価されがちであるのが現状です。そのため、開発中のデバイスの保護素子が十分かどうかを理解しないまま設計か進めてられている事も珍しくありません。

 ■前世代のデバイスに使われていた保護素子をそのまま使っている。
 ■ESD試験の方法を間違えたまま、試験を行っている。
 ■そもそもデバイスに問題が起きていないため、保護素子を使っていない。

これらのような例は、デバイス設計においてよくみられるケースです。
この記事は、これらに当てはまる方やESD保護についてこれから学習したい方、改めて学びなおしたい方へ向けた技術記事となっています。
問題が起きてからESD保護を検討するのではなく、事前に問題が起こらないように保護素子を活用してもらうために、この記事を皆様のお役に立てていただければと思います。

<設計者に必要なESD保護の考え方>
先述のとおり、電子システムを設計する際はESD保護について考慮する必要があります。
設計者はESDイミュニティのIEC 61000-4-2のような特定の規格を満たすための作業を行います。

過酷な動作環境に設置される電子機器にでは、より高いレベルの保護が必要になります。
保護要件は、ESD、雷(二次サージ)、短絡、電圧スパイク、ダーティパワー、ケーブル放電などがあります。このような過渡的な放電が存在するため、設計者は、「信頼性の高いシステムを設計するためには、どれだけの保護があれば十分なのだろうか?」と考えるでしょう。

電気的オーバーストレス(EOS)事象である一過性の事象は、頻繁に発生します。コネクタやラインの一部のみを保護し、他を保護しないことは電子機器の破壊を招くことになります。サージ保護のためにTVS(Transient Voltage Suppressor)を随所に設ける必要があります。

■回路保護に近道はない
ボタンやコネクタ、ディスプレイの保護に関して、設計者はこれらのインターフェースでEOSが発生する可能性は低いと考えたくなるかもしれません。しかし、これらのインターフェース周辺は、EOSイベントがシステムに侵入する経路となります。要するに、電子機器でのEOSの出入り口になる可能性がある部分であれば、そこを保護すべきであるということです。電子機器の場合、保護デバイスの選択には注意が必要です。クランプ電圧が高い、応答時間が遅いなど、特性の悪いデバイスは期待通りに回路を保護できない可能性があります。

■信頼性の高い保護が最重要
前述したように、保護対象のICに適応したTVSを選択することは重要であり、高品質の機器設計はこれらのTVSを使います。
例えば、監視カメラやワイヤレスカメラでは、イーサネット、RS-485、メモリーカード、オーディオ、ビデオインターフェースにESDおよびEOS保護用のTVSを使用しています。
USBインターフェースは、高速・低速データライン向けのTVSやVBusの保護に適した各々異なるTVSをそれぞれ使用します。コントロール・パネル、電子ロック、アラーム、キー・フォブ、近接センサー、ビデオ・ドアベルなども、システムの信頼性を高めるため、同様に適材適所のTVS選択し使用しています。

図1 監視カメラ向けTVS  © 2023 Semtech Corporation

■電子機器を保護する
どの程度の保護があれば十分かという問いに答えようとする場合、多くの要素を考慮する必要があります。ほとんどの電子機器は、特定のイミュニティ規格を満たす必要があります。一般的に、EOSがPCBに侵入する可能性のある経路はすべて保護する必要があります。
このような経路は常に明らかであるとは限りません。リソース削減のために、ラインやコネクタを無防備なままにして放置しようとするかもしれません。

これらの対策として、Semtechでは様々なアプリケーションにシステム保護ソリューションを提供しています。同社のTVSチームやオンラインリソースが、お客様の設計をお手伝いいたします。

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