Semtech 技術記事連載 第4話
USB Type-C向けにTVSを選定する方法
今回は具体的な例として、USB Type-CのESD保護について考えていきたいと思います。
USB Type-Cは物理的なサイズだけでなく、ホスト機器や周辺機器との接続方法においても、他のI/Fとは異なる優れた性能、機能をもっています。
一例として、リバーシブル対応に設計されたUSB Type-Cは、上向きでも下向きでも挿入可能で、上側と下側で同じ12ピン、合計24ピンで構成されています。データ転送に関しても、USB Type-C Ver3.2は最大10Gbps/ch、Ver4では最大20Gbps/chをサポートしています。
さらに、USBパワーデリバリー（USB PD3.1）では最大240W(48V)を供給し、消費電力の大きな電子機器への電源供給が可能になりました。これらの機能によって、USB Type-Cはスマホ、ワイヤレスヘッドホン、カメラ、ノートPCの充電や電源供給に広く普及しています。
図１. USB Type C ピン構成 © Semtech Corporation
図１にUSB Type-Cのピン構成を示します。2組のUSB2.0 差動ペア（D+/D-）、4組のSuperSpeed+送受信データ・バス（Tx+/Tx-とRx+/Rx-）、2本のコンフィギュレーション・チャンネル（CC）ピン、2本のサイドバンドユース（SBU）ピン、4本のVBUSピン、4本のグラウンド・ピンが配置されています。
表１：USB Type C ピン構成 © Semtech Corporation
私たちは毎日何度も電子機器からUSBケーブルを抜き差ししており、USBポートに触れたり接続したりすると、静電気放電(ESD)が発生する可能性があります。このようなESD現象は、ユーザー（人体）から発生することもあれば、ケーブルに蓄積された電荷から発生することもあります。
静電気スパイクは最大で数万ボルトに達する可能性があり、USBトランシーバーの微細化されたCMOS素子を容易に損傷させることができます。そのようなESDの危険にさらされている個々のpinを守るにはどうしたら良いのか、具体的な製品名も交えて紹介していきます。
��SBUとCCピンの保護
図1のピン配置を参照すると、CC ピンと SBU ピンが VBUS ピンの隣にあることがわかります。VBUSピンは最大20V(PD3.0/5A)に達するため、短絡状態が発生した場合、CCピンとSBUピンは20Vが印可されます。この場合、CCピンとSBUピンのESD保護では、20V以上の動作電圧（Vrwm）を持つ、TVSを使用します。
推奨製品：uClamp2411ZA
＜主な特徴＞
Vrwm:24V, IEC 61000-4-2：±20kV（気中）±17kV（接触）/双方向/ダイナミック抵抗：1Ω/パッケージサイズ：0.62x0.32mm
��VBUSライン保護
VBUSラインの保護には、パワーデリバリーの最大電圧に応じて20Vの場合では、Vrwm（動作電圧）が20V以上のTVSが必要です。VBUS ラインのESD保護では、バリスタのようなESD印加回数による保護特性の劣化は許されません。VBUS ラインの保護は、一般的に付加的な寄生容量に敏感ではないため、寄生容量を考慮する必要はありません。セムテックのuClamp2271Pは、VBUSピンの保護に最適です。この高電力Ipp対応のuClamp2271Pの動作電圧は22Vで、Ippピークパルス電流は25A(8/20uS)です。
推奨製品：uClamp2271P
＜主な特徴＞
Vrwm:22V, IEC 61000-4-2：±30kV（気中・接触）/ピークパルス電流：25A
パワーデリバリー電圧に応じて5/8/10/15/18V Vrwmの製品もラインナップしています。(uClampxx71P; xxは電圧)
��D+/D-ライン保護
D+/D-ラインはUSB 2.0インターフェースに使用されます。
これらのラインは、セムテックのRClamp4021ZAを使用することで保護可能です。
推奨製品：RClamp4021ZA
＜主な特徴＞
Vrwm:4V,最大寄生容量0.55pF/ダイナミック抵抗：0.12Ω (typical)/0.6 x 0.3 x 0.25mmパッケージ
��Tx±/Rx±ライン保護
スーパースピード（SS）インターフェースや各種オルタネートモードに使用されます。送受信ラインは最大20Gbps/chのデータ転送をサポートするため、小型かつ寄生容量、インサーションロスがいかに小さいかが重要です。
推奨製品：RClamp3391ZC 〜10Gbps/ch USB3.2 Gen1/2
＜主な特徴＞
最大接合容量0.2pF/ダイナミック抵抗：0.18Ω (typical)/動作電圧：3.3V/0.60 x 0.30 x 0.25mmパッケージ
推奨製品：RClamp01211ZC 〜20Gbps/ch USB4
＜主な特徴＞
最大接合容量0.2pF/ダイナミック抵抗：0.47Ω (typical)/動作電圧：1.2V/0.60 x 0.30 x 0.25mmパッケージ
他にもセムテックには車載向けにご利用いただける高速ライン向けの製品が多数ございます。
表２：車載USB SS TX±/RX±ライン向けTVS一覧 © Semtech Corporation
図2 USB3.2 Type-C (PD 3.0 20V時)のESD保護 © Semtech Corporation
超高速データ転送速度と優れた電力供給能力を備えたUSB Type-Cインターフェースは、民生機器、携帯機器、産業用電子機器に絶大な人気を誇っています。その普及に伴い、USB Type-Cのポートは立ち上がり時間の鋭いESDスパイクに日常的にさらされています。そのため、USBポートをESDの脅威からしっかりと保護することが不可欠です。セムテックの信頼性の高い各種TVS製品は、世界で普及している多くの電子機器を保護しています。
いかがでしたでしょうか？
第４話となる今回は、「USB Type-C向けにTVSを選定する方法」に焦点をあて、具体的な製品についてもご紹介しました。
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引き続き、TVSに関する記事を配信してまいりますので、どうぞお楽しみに！
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